国民健康保険町立和寒病院

古くて新しい? ワクチンとは

院長 山下 晃史
(広報わっさむ 平成22年2月号掲載)

 新型インフルエンザ流行でのワクチン不足騒動、子宮頸癌の予防できるワクチンの発売などで、にわかに注目を浴びたワクチンについてお話します。

 ワクチンとは、毒性を無くしたか、あるいは弱めた病原体(細菌やウィルスなど)から作った物質を、体内に注入することで抗体というものを作り、免疫力を増強し、以後その病気にかかりにくくする医薬品の総称です。

 1796年に,牛痘にかかった人が天然痘にかかりにくいことを発見し、天然痘のワクチンを作ったエドワード・ジェンナーのお話は皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。その後ルイ・パスツールが理論的裏付けを与え、二百年以上も前からワクチンの歴史は始まっているのです。

 しかしながら、その後の感染症に対する医学は、ワクチン開発よりも病原体を殺傷する物質の開発に力を入れてきました。それは、ワクチンでは100%に近い予防は困難で、かかってしまった場合の治療はできないからです。病原体も絶滅を避けるため常に進化を続けており、最近では新しい医薬品が開発されても、それがすぐに効かなくなることが多くなっています。新型インフルエンザでも、報道されているように、タミフルが効かないウィルスが出てきています。このまま病原体と人間との戦闘状態が続けは、ある日突然、とてつもなく凶悪な病原体が出現するのではと危惧されます。

 ワクチンは、病原体に罹患しないようにすることで、結果的に病原体が絶滅することはありますが、病原体を直接殺傷しようとするものではありません。したがって、病原体の著しい進化をスローダウンできるかもしれません。

 この十年くらいの間にずいぶんいろいろなワクチンが開発されてきています。日本では認可されていないものも多く残念なのですが、海外を中心に医薬品メーカーもワクチン開発には力を入れています。

 ようやく日本では一昨年に小児の髄膜炎予防のアクトヒブというワクチン、昨年には子宮頸癌予防のサーバリックスというワクチンが使えるようになりました。

 アクトヒブはインフルエンザ菌b型に対するワクチンです。乳幼児の重症髄膜炎の原因菌のかなりの部分を占めるインフルエンザ菌の予防の切り札とされています。導入された国では、この菌の髄膜炎はほぼ消失しています。生後二カ月から四回に分けて接種します。

 サーバリックスは、子宮頸癌の原因とされるヒトパピローマウィルス16と18型を予防するワクチンです。子宮頸癌の予防に大いに貢献できると期待されております。十歳以上の女性に、一ヶ月後と六カ月後の計三回接種することになっています。

 さらにC型肝炎のワクチンなどが開発中です。

 これからの感染症対策はワクチンが主流になっていくかもしれません。ワクチンの保険適用や公費負担が望まれます。

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