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道教委「新たな高校教育に関する指針」を抜本的に見直しすべての 子どもにゆたかな学びを保障する高校教育を求める意見書

件名

道教委「新たな高校教育に関する指針」を抜本的に見直しすべての子どもにゆたかな学びを保障する高校教育を求める意見書

本文

 

 道教委は、「新たな高校教育に関する指針(2006年)」にもとづき、毎年度「公立高等学校配置計画」を決定し、「望ましい学校規模」を「40人学級で4~8学級」として、高等学校の募集停止や再編・統合を行ってきました。これによって、2007年からの10年間で、道内の公立高校は統廃合により42校減少し、公立高校のない市町村は50と増加しました。2018~20年度の「公立高等学校配置計画案」でも再編・統合により40校42学級と大規模な削減になっています。

 「配置計画」で地元の高校を奪われた子どもたちは、遠距離通学や下宿生活等を余儀なくされ、精神的・身体的な負担は増大するとともに、保護者の経済的負担の増大も報告されています。また、子どもの進学を機に地元を離れる保護者も現れ、過疎化が進み、経済や産業、文化などに影響を及ぼすなど結果的に地域の活力を削ぐこととなっています。

 これらを解消するため、「通学費・制服代・教科書代」補助などの制度を実施や、やむなく町立移管とするなど、地域の高校を存続に向け努力している自治体は数多くあります。これらは本来、道教委が行うべきことであり、各自治体に責任を負わせている道教委は、すべての子どもたちに等しく後期中等教育を保障しなければならない教育行政としての責任を放棄していると言えます。

 昨年度道教委は、「新たな高校教育に関する指針」の見直しについて検討し、10月に「『新たな高校教育に関する指針』検討報告書」を公表しました。しかし、「検討報告書」は依然として「望ましい学級規模を4~8学級とし再編整備を進めることを基本」としており、地域の要望や実態を全くふまえたものとなっていません。道教委は、この「報告書」にもとづき来年3月までに「新しい指針」を作成するとしています。これまでの「指針」の問題点を改めず、これまで同様に1学年4〜8学級を「望ましい学校規模」、1学級40人に固執すれば、今後も統廃合が進むことは明らかであり、「都市部への一極集中」や「地方の切り捨て」により地域間格差が増大するとともに、北海道地域全体の衰退につながります。

 したがって、広大な北海道の実情にそぐわない「新たな高校教育に関する指針」を抜本的に見直し、中学卒業者数の減少期だからこそ、学級定数の見直しを行うなど、地域に高校を存続させ、希望するすべての子どもにゆたかな後期中等教育を保障していくべきです。そのためには、地域の意見・要望を十分反映させ、地域の経済・産業・文化の活性化を展望した新たな「高校配置計画」「高校教育制度」を創り出していくことが必要です。

 以上の趣旨にもとづき、次の事項について意見します。

1.道教委が2006年に策定した「新たな高校教育に関する指針」は、地域の教育や文化だけでなく、経済や産業など地域の衰退につながることから、現在検討している「新しい指針」については、これまでの「指針」による「序列化」「高校間格差」「地域間格差」などの問題点を抜本的に見直したものとすること。

2.高校の学級定員を引き下げること。当面、地域の高校や定時制高校を先行的に30人以下学級とすること。

3.教育の機会均等と子どもの学習権を保障するため、「遠距離通学費等補助制度」の5年間の年限を撤廃するとともに、以前より高校が存在しない町村から高校へ通学する子どもたちも制度の対象とすること。

4.地域の高校を存続させるため「地域キャンパス校」については、道教委が検討している「2年連続20人を下回った場合は統廃合する」とする「基準の改悪」をしないこと。また、障がいのある・なしにかかわらず、希望するすべての子どもが地元の高校へ通うことのできる後期中等教育を保障するため、「地域合同総合高校」の設置など、ゆたかな高校教育を実現するため検討をすすめること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 

提出先

 北海道知事 北海道教育委員会教育長 北海道議会議長

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