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義務教育費国庫負担制度堅持・負担率1/2への復元、教職員の超勤解消と「30人以下学級」の実現、「子どもの貧困」解消など教育予算確保・拡充と就学保障に向けた意見書

件名

義務教育費国庫負担制度堅持・負担率1/2への復元、教職員の超勤解消と「30人以下学級」の実現、「子どもの貧困」解消など教育予算確保・拡充と就学保障に向けた意見書

本文

 

 義務教育費国庫負担率が1/2から1/3になったことで、定数内期限付採用や非常勤教職員が増加し、教職員定数の未充足などの状況が顕著になっています。また、17年度文科省予算では、財務省が主張する「少子化による基礎定数削減に加えて加配定数の削減」に一定歯止めをかけたものの、10年間の教職員定数改善計画、29,760人(初年度分3,060人)は見送られ、「通級による指導」「外国人児童生徒等の指導」などを行う教員等の基礎定数化と加配定数による868人の増員にとどまりました。連合総研の報告によると、教職員の7~8割が、厚労省の月の時間外労働過労死ライン80時間を超えていることが明らかとなっています。子どもたちへのきめ細やかな教育のためにも、教職員の多忙と超勤実態を解消することは必要であり喫緊の課題です。そのためには、働き方改革の一環である「時間外労働の上限規制」に公立学校教員を含む地方公務員も対象とすることや、義務標準法の改正を伴う抜本的な「教職員定数の改善」と「学級基準編成の制度改正」および「30人以下学級」の早期実現が必要です。

 OECDの発表によると、2013年度日本のGDP比に占める教育機関への公的支出の割合は3.2%と、依然として平均の4.5%を大きく下回り、加盟33カ国中ワースト2位という状況になっています。その一方で、子ども一人当たりの教育支出における私費負担率は依然として高い水準にあるなど、日本の教育にかかわる公的支出の貧困さは明らかです。また、厚労省から発表された12年度の国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率は16.3%と約6人に1人、ひとり親家庭にいたっては54.6%と2人に1人以上となっています。このような状況にあるにもかかわらず、教育現場では、未だに地方財政法で「住民に負担を転嫁してはならない」としている人件費、旅費をはじめ、校舎等の修繕費がPTA会計などの私費から支出されている実態や、給食費、修学旅行費、テストやドリルなどをはじめとする教材費などの私費負担も依然として減少せず、地方交付税措置されている教材費や図書費についても自治体において、その措置に格差が生じています。

 さらに、生活扶助費の切り下げによる就学援助制度の改悪、「高校授業料無償制度」への所得制限、家庭の貧困から教育ローンともいえる有利子の「奨学金制度」を利用せざるを得ない子どもたちが、返済に悩み苦しむなど、家庭・子どもの「貧困と格差」は改善されず、経済的な理由で進学・就学を断念するなど「教育の機会均等」が崩され、学習権を含む子どもの人権が保障されない状況となっています。

 子どもたちは、住む地域や環境に関係なく平等に教育を受ける権利を有しています。その保障のためには、国による教育予算の確保と拡充が必要です。

 これらのことから、国においては義務教育費無償、義務教育費国庫負担制度の堅持、当面負担率1/2への復元、教職員定数改善など、以下の項目について地方自治法第99条にもとづき、教育予算の確保・拡充、就学保障の充実をはかるよう意見します。

 1.国の責務である教育の機会均等・水準の最低保障を担保するため、義務教育費を無償となるよう、また、義務教育費国庫負担制度の堅持、当面、義務教育国庫負担金の負担率を1/2に復元されるよう要請します。

 2.「30人以下学級」の早期実現にむけて、小学校1年生~中学校3年生の学級編成標準を順次改定すること。また、地域の特性にあった教育環境整備・教育活動の推進、住む地域に関係なく子どもたちの教育を保障するため、義務標準法改正を伴う計画的な教職員定数改善の早期実現、教頭・養護教諭・事務職員の全校配置の実現のため、必要な予算の確保・拡充を図るよう要請します。

 3.給食費、修学旅行費、教材費など保護者負担の解消、図書費など国の責任において教育予算の十分な確保、拡充を行うよう要請します。

 4.就学援助制度・奨学金制度の拡充、高校授業料無償化など、就学保障の充実に向け、国の責任において予算の十分な確保、拡充を図るよう要請します。

 5.働き方改革の一環である「長時間労働の是正」において、教職員の多忙と超勤の実態解消にむけたより実効ある対策を早期に実現するよう要請します。

 6.高校授業料無償制度への所得制限撤廃、および、朝鮮学校の授業料無償化適用除外の撤回が実現するよう要請します。

 7.教育諸課題の解決にむけて人材確保が重要です。子どもたちの最大の教育条件である教職員の勤務条件、給与水準を改善するよう要請します。  

 

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 

提出先

内閣総理大臣 衆議院議長 総務大臣 財務大臣 文部科学大臣 

内閣府特命大臣(地域創生担当)

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