くすりが正しく効くように
薬剤師 宿谷高典
(広報わっさむ 平成21年10月号掲載)
1. 薬が効くまでの道すじ
口から飲んで胃や腸に入った薬は主に腸から吸収され肝臓を通って血管内へ、注射薬は皮下・筋肉を通して、または直接血管内へ注入され血液中へ、坐薬は肛門に挿入し腸の粘膜を通して血液に入ります。体の外側に使用する薬(軟膏など)は別ですが、薬は血液を通して運ばれ血液中の濃度が適切に保たれることにより効果を発揮します。
2. 薬の副作用を防ぐために
副作用の原因として、「薬の作用が強すぎて起こる場合」「アレルギー反応により起こる場合」「薬の、のみ合わせにより起こる場合」などがあります。
(例)Aさんは、舌の先が痛く食事にも苦労するため当院を受診し口内炎と診断され薬をのんでいたのですがなかなか良くなりません。そこで医師が「他に薬をのんでいませんか」と聞いたところ三ヵ月前に受診したB病院から出された血圧の薬をのんでいたと話されました。すぐにその薬による副作用を疑い、服用中止をお願いしたところ痛みも約一週間ほどで消えました。
薬は正しくのめば安全でよく効くようにつくられています。しかし、複数の病院にかかると作用の似通った薬、または逆の作用を持った薬をのむ場合も出てきます。そのためにも、受診する時は今のんでいる薬があれば町の薬局などで買ってのんでいる薬や健康食品も含めて医師や薬剤師に伝えましょう。
3. 薬は適切に使ってはじめて有効・安全
薬はきめられた量と時間を守るから効くのです。薬は人それぞれに合わせて最適な一日量が決められています。そのため、薬の性質、使用目的、患者さんの容態などにより服用する時間も違ってきます。副作用を少なくし安全性を高めるためにも時間を守って服用することが大切です。
のみ忘れた時にどうするかは、薬の種類によって異なりますが、絶対に二回分を一度にのんではいけません。必ず、医師または薬剤師に確認してください。
よく症状が良くなると「薬をやめてもいい」と思いがちです。しかし、突然薬をのむことをやめると期待する効果が得られないばかりか、病気によっては症状が悪化し生命にかかわる場合もでてきます。
4. 自分の薬を他人にあげないでください。
(質問)「友人が風邪をひいたので、私が前に病院からもらった薬をのませてもいいですか?」
(回答)風邪に限らず「病院からもらった薬が、自分に良く効いたから同じ症状で困っている人に分けてあげよう」と考えたことはありませんか? 気持ちは分かるのですが、かえって相手の症状が悪くなる事もあり危険です。医師が出す薬は患者さんの状態に合わせて処方しているので、すべての人に会うとは限らないのです。
「処方された薬はあなただけの薬です。」
薬のことは、いつでもお気軽にご質問ご相談ください。