食料安全保障の強化及び食料・農業・農村政策の確立と酪農・畜産経営の安定を求める意見書
件名
食料安全保障の強化及び食料・農業・農村政策の確立と酪農・畜産経営の安定を求める意見書
本文
我が国の農業は、高齢化や担い手不足に加え、頻発する自然災害による農業被害などで生産基盤が脆弱化し、食料自給率の低下、農村社会の疲弊とともに、相次ぐ大型貿易協定発効による農畜産物の市場開放で農業・農村を取り巻く情勢は厳しさを増しています。
そのような中、2020年1月より新型コロナウイルスの感染拡大の影響で農畜産物需要が減退し、発生から3年が経過した今尚、米や砂糖、乳製品等の在庫滞留が続き価格が低迷しています。さらには、昨年2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻で、世界経済が一変し、世界的な穀物需要の逼迫や燃油、肥料、飼料等の生産資材の価格高騰を招き、それらを輸入に依存している我が国は危機的状況の一途を辿っています。
こうした情勢から、自国の食料は自国で賄うという食料安全保障の考え方が改めて重要視され、政府は「食料安全保障強化政策大綱」を策定し、20年以上が経過した「食料・農業・農村基本法」の見直しにも着手しています。このため、命の源である食料とそれを生み出す農業を再評価し、国民合意のもと実効性ある政策が求められています。
また、酪農・畜産においては、飼料価格などの高騰が続く中、長引くコロナ禍で牛乳乳製品の需要が回復せず、道内では需給改善に向けて2023年度も更なる減産が求められており、在庫削減対策の拠出など需給調整の負担が道内で指定事業者に出荷する生産者に大きく偏っています。このほか、初生牛等の個体販売価格の暴落など、取り巻く環境は日々厳しさを増しており、離農を余儀なくされる生産者が続出するなど危機的状況に晒されていることから、国内酪農・畜産の経営存続に向けて、一刻も早い需給改善と急騰した生産資材対策や適正な価格形成が求められています。
つきましては、農業者が将来に渡って安心して営農できるよう、我が国の食料安全保障の強化と国内酪農・畜産の経営安定に向けて、下記内容を要望致します。
記
1.世界の食料事情の変化や気象変動による農業被害等に鑑み、食料の安定生産・供給 に向けて、生産資材の安定的な確保や担い手・労働力の育成・確保、再生産可能な直接支払制度の導入など機動的な施策の拡充や予算の確保により、生産基盤を一層強化し、国内生産の増大を図る食料安全保障政策として強化すること。
また、基本法の見直しにあたっては、食料自給率の向上を目指し農業者が将来に渡って安心して営農できる持続可能な食料・農業・農村政策を確立すること。
2.国内酪農・畜産経営はかつてないほど厳しい情勢に晒され、存続の危機に瀕していることから、官民一体での在庫削減などの需給調整対策を行い、牛乳乳製品の消費拡大の一層の強化や新たな需要創出などで、一刻も早く需給改善を図ること。
また、経営を圧迫している生産資材高騰への対策強化と、流通・販売業者や消費者への理解醸成のもと、コスト高に係る酪農畜産物の適正な価格形成が可能となるよう、環境を整備すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
提出先
内閣総理大臣、財務大臣、総務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣