和寒町役場

和寒町議会事務局和寒町議会事務局

将来にわたり持続可能な農業の実現を図る食料・農業・農村基本法改正等に 関する意見書

件名

将来にわたり持続可能な農業の実現を図る食料・農業・農村基本法改正等に
関する意見書

本文

 農業をめぐっては、近年の自然災害の多発化による食料・農地の損失、コロナ禍による輸入制限や国内在庫滞留、ウクライナ侵攻やイスラエルの内戦などによる世界経済の不安定化から食料調達の激化とともに、円安などの影響も相まって、食料やエネルギーの価格高騰を招いています。加えて、昨今の気象変動による食料生産への影響が大きく、昨年では猛暑等の影響で品質低下・収量減を招くなど、食料を安定的に供給することが危惧される状況下にあり、過度な輸入依存から脱却し国内生産の増大を図る政策の構造転換が求められています。
 こうしたなか、農政の憲法と呼ばれる「食料・農業・農村基本法」の制定から25年が経過し、世界情勢の変化に対応して、食料安全保障の確保や農業の持続的な発展のための生産性の向上を図るなどを基本理念に織り込んだ改正案を今通常国会に提出するとしています。併せて、不測時の食料確保やスマート農業の振興に関する新法、農地所有適格化法人の特例措置など農地関連法案も議論されるとしています。
 しかしながら、食料自給率は38%(2022年)と依然として低い水準にあり、国内生産基盤は高齢化や担い手不足などで脆弱化していることから、農業生産基盤の強化など基本計画の実効性のある政策が大きな課題となっています。
 また、適正な価格形成では、生産コストの転嫁のあり方とともに、消費者への理解醸成が必要であり、さらには、不測時に対応した食料確保にあたっては、生産者等に罰則を科すことは生産の自由を奪う危険性があります。加えて、食料の安定供給には優良農地の確保が重要となっており、食料自給率向上を図るための農地の確保と国の責務を強化することが重要となっています
 つきましては、将来にわたり持続可能な農業の発展を図り、生産現場の意見に寄り添った農政の確立に向け、食料・農業・農村基本法の改正など関連法案について、下記事項を要望致します。

 

 

1.基本法の改正にあたっては、食料安全保障の強化に向けて農業予算を拡充し、農業基盤の整備や官民一体となった備蓄制度の構築、海外への食料援助を含む輸出体制の強化など輸入に依存しない国内自給を基本とすること。
また、新たな基本計画の策定については、目標達成の状況調査・公表のみならず、未達成品目の実効性を確保する具体的な施策と予算措置を図ること。

2.適正な価格形成については、コスト上昇分をすべて価格に反映すると消費減退を招き、農業者は生産調整を強いられることから、消費者への理解醸成を図るとともに新たな所得政策を構築すること。

3.不測時の食料確保について、農畜産物(米穀、小麦、大豆など)の需給調整では、生産者と生産者団体等で行われていることから、生産者等への罰則を設けるのではなく、まずは国が責任をもって需給調整に参加することを明確化し、生産の自由を奪うことのないよう慎重な対応を図ること。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

提出先

内閣総理大臣、財務大臣、総務大臣、経済産業大臣、農林水産大臣

閉じる

閉じる

ページの最上部へ